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において高等学校進学は著しく増加したものの、それ以上の高等教育の時間はしかしながらそれほど増えていない。それよりも、初子出産までの就労期間が男女ともに長くなってきていることが指摘される。しかし、子どものいない男女の中心的な活動が就労であるということが、労働市場での地位を確立するためにとくに初子出産が遅れる第一の理由であると断言するのは難しい。子どもを生む生まないに関係なく、就労時間は増える傾向にあると考える方が妥当であるからである。
女性就労率の増加によって、仕事や子どもに対する考え方が変わったといえるのは、どちらかというと教育水準の低い女性たちである。伝統的に、教育水準の高い女性は以前から労働市場と継続的な関係を保ってきたのに対して、家事と子育てのため長期間労働市場を離れたのは教育水準の低い女性グループであったからである。女性就労のパターンの変化はしたがって必ずしも、初子出産の高齢化をもたらした唯一の理由とは断言しがたいし、その必要もないことが指摘される。それならば、子どものいない男女は将来子どもをもうけることについてどう考えているのだろうか、また初子出産を遅らせる理由として自らどう説明するのであろうか。

 

ヨーロッパの多くの国で子どもを生まない女性が増加することが予測されるが、スウェーデンではまだその傾向はみられない。スウェデーン女性は、若い時代に生産力が低くても、高齢出産によって補足しているからである。表13は、子どものいない男女の将来の出産計画であるが、38歳の女性は43歳の女性ほど計画を放棄していないことが明らかであり、23歳の女性の90%以上が将来子どもを生む計画をもっている。
子どもを将来もうけると答えた人が、今子どもをつくらない理由として、圧倒的

 

表13 子どものいない男女の将来の出産計画

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出所:SCB 1995:2.3 p.34
注:*は、年をとりすぎていると答えたため、質問されなかった人も含まれる

 

 

 

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